(写真&文=鈴木秀樹)

1回戦〇6対0真木山野球スポーツ少年団(下越)
準決勝〇15対4大潟フェニックス(上越)
決 勝〇13対3今町ふたば野球スポーツ少年団(中越)
今年はパワフルな攻撃が魅力

新潟県予選決勝で一番打者の山森陽人が2本塁打。準決勝では二番・窪田力毅が2本塁打。四番の保坂慶人は準決勝と決勝で、ともに1本塁打。三番の笹原徹太、五番の芳賀めい主将のスイングも力強く、上位打線は迫力抜群だ。
「実は一昨年、昨年の方が全国には近いと思っていたんですが…。分からないものです」
そうつぶやくのは高橋豊監督(※関連記事➡こちら)だ。
両川スポーツ少年団の指揮を執って16年目のベテラン。一昨年の新潟予選では準優勝と、全国まであと一歩まで迫ったが、わずかに届かず。それまでも、2018年には新人戦で新潟一を獲得するなど、チームを毎年のように、県で上位を争えるレベルに育て上げている。
「ただ、これまでは好成績を残した年も、大きな選手は少なかったですね。基本的には守備を鍛えることで戦ってきたチームなんです」


一転、今年のチームはパワフルな打線が最大の武器だ。
上越、中越、下越、新潟の各支部代表8チームが出場する県予選は、3試合で総得点34、7失点と、圧倒的な攻撃力で頂点に上り詰めた。
「6年生は7人ですが、これほど体格がいい子がそろったことは…歴代でもなかったんじゃないかと思います」
大型選手がそろったことも初めてなら、女子選手が主将になったのも初めてのことだ。
高橋監督が続ける。
「キャプテンの芳賀は、お兄ちゃんがこの両川にいたこともあって、幼稚園の年長のときからチームにいるんです。だから、今年が入団7年目で、チームの在籍が一番長い。そして、われわれコーチ陣も感心するほど、選手たちをうまくまとめてくれています」

昨年はボールボーイ、ボールガールだった
両川が本拠地として使っている旧酒屋小学校グラウンドは、ライト側こそやや狭いものの、レフト側は学童野球の規定サイズ、70mが十分に確保され、センターの85m地点まで、ネットフェンスが張られている。練習にはぜいたくなほどの広さだ。
このグラウンドをフルに使って、現役の社会人軟式選手でもある父親コーチが投げる100kmオーバー(に調整している)の速球により繰り広げられる、スピード感あふれる実戦形式の練習は圧巻だ。

コロナ禍だった2021年の第41回大会、そして昨年の第45回大会は、全国大会が地元・新潟で開催された(中止になった第40回大会も新潟での開催が予定されていた)。
両川は出場チームの練習会場として、メイン会場のHARD OFF ECOスタジアム新潟からもほど近い、このグラウンドを提供。その縁もあって、大会常連の多賀少年野球クラブ(滋賀)や北名古屋ドリームス(愛知)と親交が始まった。
「全国出場が決まった時、最初に連絡をいただいたのは、多賀少年野球クラブの辻(正人)監督でした」と高橋監督。現在も折に触れ、連絡を取り合う間柄だという。

「私たち、去年は全国大会で、ボールボーイ、ボールガールをしてたんです」
芳賀主将が笑顔で振り返る。
「それも良い思い出ではあるけれど、やっぱり大会に出たい、と思いました。悔しい気持ちも少し。だから、今年は絶対に全国大会に出るんだ、って思って、みんなで練習をしてきたんです。こうして出場が決まって、すごく幸せです」
さらに続けた。
「今年のチームの強みは打線。みんな、次につなぐことを一番に考えています。全国大会に出てくるピッチャーはみんなレベルが高くて、球も速いと思う。なんとか食らいついて、次のバッターにつなぐことに集中しようと思います」

県予選決勝2ホーマーの山森は「全国大会は楽しみだけど、緊張もしています」と武者震いしつつも、「しっかり体調を整えて、良い調子で全国大会を迎えたいです」と冷静だ。
その山森と一、二番コンビを組む窪田は「緊張してるけど、あとは戦うだけなので。ボクの打順は一番か二番なので、とにかく塁に出て走ることで、チームに貢献したいと思ってます」と気合を入れている。
大会に向けて練習を続けるナインを見ながら、高橋監督がつぶやく。
「2勝すると、3回戦で長曽根ストロングスさんと戦えます。向こうも勝ち上がっていれば、ですが。なんとか、そこまで行きたいですね。対戦してみたいなぁ」
伸びしろ十分、愛媛で輝け!

昨年まで、中止だった2020年を除き、44回を数える全日本学童大会の歴史で、新潟県代表の優勝チームは出ていない。準優勝もない。
第16回大会(1996年)の大蒲原野球スポーツ少年団、第25回大会(2005年)の吉田ジュニアクラブ、第35回大会(2015年)のオール阿賀野クラブ、そして昨年の旭スポーツ少年団の3位が最高位として記録が残っている。
冬場、雪深くなる新潟では、11月から2月あたりまでは屋外のグラウンドが使えず、活動が体育館など、屋内での基礎練習に限られるチームがほとんどだ。
そうした練習事情も、県勢の過去の成績に反映されているのかもしれない。
両川の場合は毎年、3月初旬、交流のある東京・東村山市に遠征を行うのが恒例となっている。これがグラウンドを使った、シーズンの始まりだ。

4月半ば過ぎには、全日本学童の地区予選が始まる。きっちりと仕上げて戦いに臨む、というよりは、戦いながら戦力を整えてゆく感覚なのだろう。
他県の環境と比較し、それをハンディキャップと捉えることはできる。ただ、逆に見るなら「伸びしろ」ともいえる。
県予選後も全国大会に向けて、精力的に練習と練習試合を重ねる両川。その力強いプレーには、昨年の新潟代表、旭スポーツ少年団がそうであったように、戦いながら、全国大会中にもグングン強くなる可能性を秘めている、とも感じる。
間もなく、その舞台の幕が開く。抜群の一体感を誇る両川ナインが、愛媛の地でどんな輝きを見せてくれるか、楽しみにしたい。


【県大会登録メンバー】
※背番号、学年、名前
⑩6 芳賀 めい
③6 窪田 力毅
②6 保坂 慶人
⑤6 藤田 洸
①6 笹原 徹太
⑧6 鈴木 翔太
⑪6 山森 陽人
④5 廣瀬 希里
⑦5 小熊 結翔
⑤5 長橋 葵輝
⑨5 鈴木 朔仁
⑫5 阿部 希蓮
㉕5 柴山 颯真
⑬4 宮尾 一星
⑭4 戸熊 一登
⑮4 河内 新
⑯4 太田悠士朗
⑱3 小熊 唯乃
⑰3 池田 虎生
⑲3 戸松 快翔
⑳3 熊倉 航大
㉑3 濱田 蒼
㉒3 齋藤 大恵
㉓3 遠藤 凱李
㉔2 近藤桜太郎